2010年5月11日火曜日

帰国後初セミナー

大変長らくblogをさぼっていました。5月2日に帰国し、3か月くらい日本にいます。オランダにいる間に新校舎への移転と新学期を向かえたため、帰ってきてみたら、知らない人いっぱいで、浦島太郎状態でした。

今日は新学期三回目の講座セミナーでしたが、私は初参加。D1の二人による研究計画発表でした。二人とも撹乱と生態の話でしたが、片方はbamboo, もう片方は湿原植物ということで遷移段階ではだいぶ異なる植生を対象としています。bambooの方は撹乱後のbamboo侵入と樹木への影響についてで、湿原の方は、撹乱後からの種の侵入と、光と水分条件についてでした。両方ともとても興味のあるテーマなので、大変楽しく聞かせてもらいました。簡単なコメントは以下の通り。

Bamboo)調査区内のbambooの生活史が把握できてないので、撹乱後の仮説へとつなげられていない。仮説がないので、羅列されている測定項目やデザインのどの部分を比較すれば、仮説の答えが見つかるのかがわからない。generalな研究目的が管理なのか、生態学的知見なのかがあいまいで、そのため、どっちつかずのデザインが多い。伐採の研究で一番重要な伐採強度がまったく考慮されていない(1、0ではダメ)。200ha の調査区は地形によって林分構造が大きく異なり、bambooの侵入度合も異なる。この伐採前の状態を定量的に把握しなければ、伐採による影響は評価できないはず。

湿原)泥炭採掘後の草本種の侵入について、ミカズキグサとヌマガヤの光と水分に対する応答の違いがこの2種の定着に効いている(草本群集発達のメカニズム)のを明らかにするという話。面白いのは、物理的環境条件の光と水分は草本に直接影響を与える(直接効果)と同時に、直接効果を受けた種Aの応答により、種Bが影響を受けるという間接効果があり、その両方を考慮するという点。問題は実験デザインで、直接効果と間接効果の両方を区分できるようにしなればいけないこと。水分条件を変える実験は3年間で結果がでるかが問題点なので、でなかった場合のD論のまとめ方も検討する必要あり。光と水の話は私の中では結構ホットな話題。光要求性と乾燥耐性の間のトレード・オフが示せれば、そこから群集内での階層構造に関連した種特性の分化へと繋げれるのではないだろうか。

撹乱の話を聞くといつも思うのですが、この手の話に常について回る、「撹乱前データの重要性」、について研究計画の時点でもう少し考えた方がいいと思う。そうでなければ、撹乱による影響だけを抽出することはできないし、研究目的自体が「撹乱の影響」を把握することならば、計画倒れになることが多いような気がする。

何はともあれ、大変面白かったです。

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