2010年1月25日月曜日

D論発表会1

MさんのD論発表会の内容は河川底生動物の群集の多様性が緯度勾配に沿ってどのようなパタンになっているのか、ということと、そのメカニズムについてでした。
緯度→降水量→群集密度の増加→多様性、というパタンで多様性があるらしい。
次 に、撹乱(降水量)が個体数密度と多様性と関係があることを示し、その関係がギルド間で異なることに注目。ギルドは捕食者、藻類食者、腐植食者の3つ。ベ イジアンネットワークという手法を用いて、緯度と各ギルド間の関係を解析した。解析するときに各ギルドに対する影響として質的影響(密度)と量的影響(種 数)を考慮。このあとに各ギルド間の相互作用の効果を示したスキームで結果を示したが、いまいち腑に落ちない点があった。腑に落ちた点から説明すると、腐 植食者は他のギルドに関係なく緯度パタンを示す。捕食者は腐植食者からのギルド間相互作用なしでは緯度パタンを示さず、捕食者の緯度パタンは腐植食者のボ トムアップ効果によってもたらされる。で、腑に落ちなかったのは、藻類植者に関して。さらっと進んでしまったので、私の見間違えかもしれないが、スキーム では正の関係があったと言ってたように思う。でも、その前のスライドでみた散布図では正の関係はなかったはず。これは、ベイジアンネットワークを用いると 普通の回帰分析と異なる結果になるということなんだろうか?(あとで飲み会で聞いてみよう)。どちらにしても藻類食者の群集における役割がいまいち分から なかった(明らかに私が無知であることが大いに依存しているが)。最後に、この多様性と撹乱の関係性が群集レベルでの密度依存的な競争の有無によって変化 することを示して、先行する理論研究との検証の結果は先行研究にぴったり当てはまるものではなく、「優占種は撹乱によって変化しないが、希少種が撹乱に よって変化した結果、多様性と撹乱のパタンが単峰形を示す」、と結論付けていた。発展としては、これは河川生態系だけでなく、他の生態系にもいえるのでは ないか、ということと共に、ちっちゃなスケールのものを積み重ねていくことで全体のパタンがわかるのではないか的なことで締めくくってました。

全 体の感想としては、とてもよくできたD論だなぁ、と思いました。もちろん発表内容も手法もうまかった。聞いてておもしろかったし、何をしたいのかすごくよ くわかった。質問でも出ていましたが、緯度勾配に着目する必要性はいまいちわからないと思いました。撹乱と降水量の話ですすめて、最後にこの高水量が緯度 勾配に沿っていることから、マクロスケールへの発展を促してもいいのでは、と感じました。たぶんD論で発表したのは、蓄積データの一番マクロな部分だか ら、今後はもっと細かい話が論文ででてくるのだろうと期待です。

0 件のコメント:

コメントを投稿